生徒創作脚本コンクール発表

 大阪府高等学校演劇建盟では生徒創作を奨励し、優れた作品に助言して いくために本年度より生徒創作脚本コンクールを行うことになりました。 その対象となる優れた生徒作品を各地区大会の作品の中から審査員(連盟常任委員) より推薦していただいたところ、下記の8本が候補作品としてあげられました。  これらの作品について創作に詳しい、4人の審査員の先生(追手門学院 阪本先生、 金蘭会 山本先生、枚方 吉田先生、三島 門内先生に読んでいただき、 審査会にて検討した結果、本年度の賞を以下のよぅに決定致しました。     なおこの賞については地区大会の上演成果とは別に脚本としての成果を賞するもので す。各作品についての紹介、講評の内容については冊子にまとめ、総会の時にみなさん にお知らせします。創作をめざす多くの学校で励みと参考にして下さい。  審査結果 入選 なし 佳作 2本、 寝屋川高校 島奈緒子 「Alice 鏡の国の不思議のアリス」   樟蔭高校 川辺美穂 「アライタイオンナ」 候補作品       東豊中高   上原透      「Heart of Metal」 寝屋川高校 島奈緒子  「Alice 鏡の国の不思議のアリス」       樟蔭高校 川辺美穂 「アライタイオンナ」       東住吉高校 橋田祐樹・笹野かおり 「Hello」       清教学園高校 小谷恵理 「ましかば・まし」       狭山高校 鶴野巨樹  「INNOCENCE」       羽曳野高校  金山一生 「月に祈る」       三国丘高校 鬼崎翼   「JOKER」    連絡先    大阪府立長尾高等学校          大阪府高等学校芸術文化連盟演劇部会事務局 土谷典子    〒573−01 枚方市長尾家具町5−1−1          電話  0720−55−1700


1997年度 生徒創作脚本コンクール 優秀作品選考経過報告

文責 枚方高校 吉田美彦  今年度より新たな大阪府高等学校演劇連盟の取り組みとして行われた 生徒創作脚本コンクールは、府下の高校演劇の活発な創作活動の状況と、 近畿・全国における生徒創作脚本の水準との格差に、現在の大阪府の 高校演劇の直面している問題があるとの認識から、とりあえずコンクールでの 上演作品から生徒創作脚本で審査員から推薦を受けた作品を候補とし、 連盟常任委員で創作活動に関わってきた門内(三島)、阪本(追手門学院)、 山本(金蘭会)、吉田の四名で審査、選考することにした。  推薦された作品は、地区によるばらつきがあるが、次の通りである。 上原 透(府立東豊中高校)作「Heart of Metal」 島奈緒子(府立寝屋川高校)作「Alice−鏡の国の不思議のアリス」 川辺美穂(樟蔭高校)作「アライタイオンナ」 橋田祐樹・笹野かおり(府立東住吉高校)作「Hello」 小谷恵理(清教学園高校)作「ましかば・まし」 鶴野巨樹(府立狭山高校)作「INNOCENCE」 金山一生(府立羽曳野高校)作「月に祈る」 鬼崎翼(府立三国丘高校)作「JOKER」  選考会は98年1月、金蘭会高校で行われ、まずこの脚本コンクールのあり方に ついて以下のように決めた。 ・選考結果は、連盟総会において発表する。 ・選考経過における講評を結果発表と同時に明らかにする。 ・選考結果の表彰は、優秀なものを「入選」、問題はあるものの評価に 値するものを「佳作」とし、その数を絞らない。 ・「入選」「佳作」作品は上演台本の形式で増刷し、加盟校に配布する。 ・連盟主催の講習会における創作脚本分科会などでのテキストとする。 そして、本コンクールの性格、位置づけについてさらに検討を加え、  1 生徒の創作脚本発表の場所、書く力を伸ばす場所とする。  2 生徒の創作脚本を書く力を育てる場所とする。  3 個人作業になりがちな創作活動を、広げる場所とする。 ことを確認し、今回は地区大会審査のフィルターを通していわば第一次審査を行ったが、 次回からはオープン参加も認め、  4 生徒に対するまともな作品批評を行っていく。 ことにした。 【推薦作品の内容紹介と講評】 上原 透(府立東豊中高校)作「Heart of Metal」  登場人物 サイボーグ  ユキ  ジュン  ワタル  ハヤマ  スズキ  <あらすじ>  暗殺マシーンを製造したハヤマハカセの所からサイボーグが逃げ出した。そして、 廃ビルに遊ぶユキたちの所に逃げ込んできた。ハヤマは助手の鈴木を使ってサイボーグの 居場所を突き止め、さらにスズキをパワーアップしたサイボーグに作り替え、サイボーグ 停止装置を使って引き戻そうとした。ユキたちはサイボーグを助けようとするが、危険な目 には遭わせられないとサイボーグは自ら停止装置を作動させようとした。彼の中にはまだ 人間の感情が残されていたのだった。  <講評>  「惑星ピスタチオ」風の構成。しかし、ストーリーの構成はオーソドックス。 アクションでの展開や、時空を自在に駆けるという展開においても不足がち。あり 主のパターンが固定してしまっているのが原因ではないか。友情論がでてきているが、 芝居を構成させるための素材でしかなく、そのためになぜサイボーグ製造なのかも 背景が納得いかないままに進行されている。このような構成は、実は生徒創作のいわば多数派で、 ある程度のまとまりは持っているものの、健全な現状肯定から出ることはなく、なぜ芝居をする のかをむしろ問いつめる必要があるのではないか。これを書きたいという、内的衝動を感じる ことが出来ない。 島奈緒子(府立寝屋川高校)作「Alice−鏡の国の不思議のアリス」  登場人物 ありす  だいな  うさぎ  <あらすじ>  小説家になって印税暮らしを夢見ているありすと、それを心配する友人だいなの所へ 不思議なうさぎがあらわれた。「私の名前は何でしょう?ヒントは、この世で一番確かで 不確かなもの。答えを間違えば、記憶が一つずつ消えていく」というなぞなぞゲームを 仕掛けてきて、ありすは答えを探そうとする。こうして、ありすは知らぬ間に鏡の国に さまよい込む。最初の答えは「うさぎ」。すると家族の記憶が消える。次に友人「だいな」を 答えると、将来の夢が消える。間違うたびに記憶は消え、過去・現在・未来の自分まで 消えそうになったとき、「私」の存在に気がつく。  <講評>  シンプルな劇構造を引っ張っている力、それを練り上げた作品として評価できる。 作者の力量はその点で達者であると言える。作品としては、「自分探し」の典型で、 「アリス」ものに収束している。過去を消し、未来を消し、現在を消しても自分が残る というのは、一つの時代表現であろう。しかし、身近なところでの題材探しではあるが、 最初のゲームからすでに失速しており、消えてなくなるものの期待が展開しなかった。 後半が説明に流れたのも残念。 川辺美穂(樟蔭高校)作「アライタイオンナ」  登場人物 オンナ  女1  女2  男A  <あらすじ>  誰からも優秀で、仕事が良くできると思われていたオンナが、近頃様子が変だと 職場で噂される。オンナは、カウンセリングを受ける。潔癖性で、常に手を洗い続けていないと 汚れが落ちないと強迫観念に追い込まれる。子供の時、かわいがっていた金魚を殺してしまった ことが発端であった。泳げない自分と同じように金魚も泳げないようにしてやろうと、 しっぽを引き抜き、頭を取ってしまった。それを母親は見つけて、叱るのではなく、 何度も何度も洗って、その汚いものを洗い流してしまいなさいと言った。それであなたは いい子のままでいられると母は言うのであった。そんな自分が苦しくなって、いい子のままで いられなくなって、オンナは遅刻し、お茶も入れられなくなった。そして電車の線路に 頭を乗せて死のうと考えた。  <講評>  ストーリーの素材は『精神病マニュアル』という本に紹介されているカウンセリング 実例にのっとっている。素材を特に改変したわけでなく、その点ではあっさりしている 構成で、シンプルにすぎると言うべきか。隙間の多い台詞で、オンナの同僚の男A、女2 の会話が通俗的。このため主人公のオンナの造形も浅くなり、エピソードを重ねても コラージュの深みがない。結局、病にいたらず、論理的に現象を描写したにとどまる のではないか。ただ、オンナの感情的な台詞を排除し、男Aたちの間接話法に徹したことが 手法としては効果的であったのではないか。また、さらに病的なこだわりが見られれば、 臓器に関わるホラーとしてもっとひねることが出来たのではないか。 橋田祐樹・笹野かおり(府立東住吉高校)作「Hello」  登場人物 ユウ  ゆう  U  カオル  ホンゴウ  マリン  ブルー  サクライ ゆり  サブちゃん  ジロちゃん  トンズラー  チョビー  サイケ=デリック将軍   タロちゃん・長老ダイゴ・女将(三役)  トルーパー(三人)  <あらすじ>  ウミガメを助けて海底王国シーランドに向かったユウ、ホンゴウ、ゆり、カオルたち。 しかしそこには地上世界征服を企てるサイケ=デリック将軍が海底軍艦轟天号を作り、 これを海底人シーラ族のノアの方舟とすることを考えていた。シーランドでは、長老たちの 歓迎を受けたが、すぐさま轟天号との戦いが始まり、長老の孫娘マリンとカオルが人質に 取られてしまう。このとき、ユウと同じ名前のUとゆうがあらわれる。 ユウは戦いに巻き込まれて行くが、ついに轟天号は地上に出る。将軍は新しい時代の 始まりだというのだが、追いかけてきたユウが見たのは、幼い頃に描いた海の絵の世界だった。  <講評>  これも「ピスタチオ」ばりの作品。しかし、遊びの中に見えてくるのは至って常識的、 保守的な道徳観。バランス感覚のとれた成長物語で、戦闘シーンにしても夢物語にしても、 今の価値観に対する疑いはないのだろうか。大人たちの大きな価値観の枠組みの中で整った 冒険譚を展開しても自己完結以外に成果は期待できない。このような発想しか与えることの 出来なかった現在の教育の方を問題にすべきであろう。 小谷恵理(清教学園高校)作「ましかば・まし」  登場人物 京子  朱美  少年  伊達  <あらすじ>  ペットショップで若い小学校教師の京子が朱美と伊達に出会う。京子には心を閉ざした 少年がクラスにいる。何とか彼の心を開こうとしてそのペットショップに連れてくる。 少年には、かごの扉を叩く癖のあるセキセイインコが不自由な自分の姿と重なって 映ったようだった。そして、少年は空を自由に飛べるようにしてやるんだと小鳥を かごから逃がしてやる。京子は朱美たちに謝るように少年に言うのだが、少年は謝らない。 朱美はそこで少年を殴る。「自分で餌を探せない小鳥を空に放せば、死ぬしかない。 むしろかごの優しさを思い知らせただけなのよ」という。  <講評>  原作のある戯曲化。かなり引用があるのだろう。しかし、教師と少年のふれあいの パターンや、ペットショップでの出来事など、その認識はかなり安易である。 それが現代高校生の認識の平均値であるのかも知れないが、平均値自体がかなり 水準を下げている。古い小唄の「かごの鳥」だが、そのイメージほどに「自由」への あこがれも、期待も感じることが出来ない。 鶴野巨樹(府立狭山高校)作「INNOCENCE」  登場人物 ユタカ  タケシ  マスター  ユキ  ササクラ  槌谷  アスカ  <あらすじ>  受験に失敗したユタカ。ふと出会った男タケシはレット・イット・ビーをギターを かき鳴らしながら歌っていた。タケシについていくと、そこは喫茶店「INNOCENCE」。 タケシの先輩でもあったマスターはユタカを迎え入れてくれた。タケシには恋人で進学を あきらめて田舎から出てきたユキがいた。タケシの夢は、メジャーデビューであったが、 まるでセミの幼虫のように7年間、オーディションに落ち続けた。でも今年こそはと 思っていたら、一次審査に合格。店のみんなが祝福する中、アスカと名乗る少女がやってきた。 タケシはアスカに心を奪われるが、マスターが最後はアスカとつきあい始める。 ショックのタケシ。しかし、本当にショックであったのは、アスカが店の金を持ち出して しまい、とうとう店を閉めなければならなくなったことだった。  <講評>  最大の欠点はアスカの描き方。アスカの登場によってストーリーが大きく変化するにも 関わらず、アスカの存在が弱く、ユタカ、タケシの決断に迫る衝撃を与えていない。 マスターがそのアスカに一時裏切られるのだが、そのマスターの心情も書き込み不十分。 やはり、ユタカに事件が絡まずにユタカの成長物語としているところに無理があると いうべきだろう。もっと単純に青春のエピソードを展開してもよかったのではないか。 金山一生(府立羽曳野高校)作「月に祈る」  登場人物 三草歩美  今井恭二  マギーケン  三上一紗  <あらすじ>  ファミリーレストランで取り押さえられた無銭飲食の男。かつては天才ピアニストと 呼ばれた三上であった。店員たちはそうとは知らず、三上との関係が始まる。 三上の部屋での和やかな会話。それぞれの過去が語られる。そしてある日、歩美が 妊娠三ヶ月で中絶することを明らかにする。相手は高校三年生で、高校二年生の自分も 育てられないから仕方ないと歩美は言う。ショックを受ける今井。歩美が好きだったのだ。 今井はその後、板前をめざし旅立とうとするが、かつての不良仲間に邪魔をされる。 三上は今井を助けようとたたかい、傷つく。傷ついたからだでコンクール会場に 倒れ込んだ三上。三上は、かつて恋人をコンクール直前に冷たくあしらい、自殺に追い込んで しまった過去があったのだ。  <講評>  驚くほどのメロドラマ。ピアニスト三上のラストは映像的というか、テレビ的というか、 とにかくストーリーの展開とは別個に場面が構築されていっている。歩美の妊娠にしても ストーリーの展開に何の必然性もなく、その後の物語にもほとんど影響を与えていない。 あらゆる素材を駆使したという点では健気とも言えるが、何を書きたいのかが見出し得ない ままメロドラマの雰囲気に作者自らが呑まれてしまったのではないか。 鬼崎翼(府立三国丘高校)作「JOKER」  登場人物 タナカ  アンディ  ヘレン  マリン  モリス  <あらすじ>  所は人間製造所。不良品とされ、処分を待つ四人。何も感じず、望まず、ただ利益のみを 与えてくれる人間がよい人間とされているとき、彼らは感情を持ち、疑問を持ってしまって いたのだ。いつになったら出られるかわからない日々を過ごす中、ポーカーに興じる。 ポーカーではジョーカーが何にでも代わることが出来る最強のカード。それがいつ出るか。 しかし、結局彼らに夜が来た。外にいたときより少し輝いて見える彼ら。光り輝くジョーカーが そこにあるというわけだ。そのうちこんな人間が増えるかも知れない。そんな言葉を残し、 彼らは消えていった。  <講評>  善悪の基準が単純なのが構成を浅く、展開を平板にさせた要因であろう。作られた人間の 処分までのわずかな期間を如何にドラマとして構築させるか、それは不良品とされた 人造人間たちのドラマの過去をどれだけ深めることが出来るかによるのだが、基本的な発想の 枠組みが「感情」「疑問」を持つことへの圧力という点にとどまっているため、過去に重みを 与えられない。それ故、すでに見えている結論に至る展開を後から追いかける構造に ならざるを得ない。 【総評と審査経過】  地区大会審査員より推薦を受けた作品を対象としたが、推薦の基準も初めてということで 明確でなかった。そのため、作品水準にかなりの差が目立った。  総じて問題とされたのは、 1 なぜ書くのか 2 書く視点はどこにあるのか 3 創作=オリジナリティーの姿勢は貫かれているか ということであった。 1については、コンクール脚本を対象としたためということもあるが、クラブ事情に 左右され、登場人物や状況設定などが戯曲の必然から浮かび上がってこないものが見られた。 つまり、男女の配分や、60分の時間制限において書き込むべき設定も書かれないままに ストーリーが進行するなどのケースである。なぜこの登場人物、男女配分でなければ ならないのか、年齢構成においても戯曲の必然性は一貫しているのか。作者にはその点を 再度吟味してもらいたい。そして、そのことはなぜその作品を書いたのか、作者にとって その主題で書きたいと感じた内的な必然、衝動は何であったのかを問いつめることである。 作者へのアンケートでは、クラブ内の意見を反映させたり、複数執筆の結果いくつかの 要素を取り入れた作品が少なからずあったようだが、その段階で作者の内的な必然、衝動が 曖昧になってしまったのではないかと思われる。  2はその点と関連するが、書くべき内容を如何にとらえているかと言うことである。 設定は一見自由に見受けられるが、推薦された作品を並べてみると、題材、設定が 似通っているものがある。まして、地区大会上演作品全体を見るならばその傾向は さらに拡大する。しかも、その構成、ストーリーの運びが全体としていかにもまとまりの あるものに収束してしまっている。掘り下げて、処理しきれず破綻してしまうという作品は あまり見られず、至って常識的、一般的な観念、通念に主題を預けて、「前向き」とか 「希望」とかで完結しようとしている。本当に作者はそれを「完結」させているのだろうか、 大いに疑問が残る。時代や文明、社会、世相を表層的に批判して、作者の苦しみのない ところで「問題解決」をはかったところでドラマは生まれない。  それは、現在の演劇状況や思想状況そのものが対決を回避しているから、その反映といえば それまでのことかも知れない。しかし、作者の創作性=オリジナリティーは、もっと強調されて もよいのではないか。ある劇団の強い影響下に作品を書くことは誰にもあることだけれど、 にもかかわらず登場人物への執着や、設定そのもの、あるいは小道具、言葉遣い、 さらには作品そのものの原初的イメージなど、作者ならではのこだわりというものが 「創作」活動にはあるはずだが、その「こだわり」の中から模倣を超えていく「創作性」が 見えてくるのではないか。それには、作者の一種の粘り、作品を練り上げる苦闘というものが 要求される。そのような過程をある程度経過したと思われる作品と、そうでない作品とは 結局、作品自体のメッセージ性においても印象の度合いがはっきりと分かれてきている。  以上のように推薦された作品全体についての印象をまとめることが出来る。  根本的に「書く」という行為そのものを、自分自身を見つめる作業として見直して もらいたい。それを、今回推薦された作品の作者はもちろん、これから創作をはじめようと 考えているすべての高校生諸君に訴えたいと思う。 そして、これらの選考過程での議論をふまえ、冒頭に述べた本コンクールの趣旨に立ち返って 優秀作品選考の作業に入った。  「高校生が書いたのだから」「高校生でこれだけ書ければ大したものだ」といった評価は、 結局高校生の創作水準をあらかじめ低いレベルに押し下げる役割しか果たさないので、 戯曲として優れたものを優秀とする評価を行おうとした。その点で、今回の作品は 一定の水準に達しているものと、そうでないものとの差は明快で、すぐに二本の作品が 評価の対象に絞られた。しかし、いずれも講評で記したように戯曲構成上の問題点が 否定できず、この二本を佳作とすることで一致した。  その二本が、  島奈緒子(府立寝屋川高校)作「Alice−鏡の国の不思議のアリス」  川辺美穂(樟蔭高校)作「アライタイオンナ」  である。  二人とも高校三年生で、創作経験は他にもあるとのことである。作品との格闘ないし 対象化作業など、練り上げる過程をしっかりふまえて上演に至った点、さらに、プロットや 台詞の組立手法などに自分なりの方法論を持って書き上げている点など、作者の姿勢には 学ぶべきところが多い。作者アンケートに記された、二人の今後の作品イメージを最後に 紹介させていただく。  ”最近は「優しさ」や「夢」の足りない人が多いので、そういったものをテーマにしたい。 何らかの形で心に残るような、見た人が温かいものを感じてくれればよいと思う”(島)  ”普通だと自分では思っている人のことを書いていきたい”(川辺)
高校生のための創作脚本講座

1 目的 ・高校生の戯曲創作意欲を高め、大阪府の高校演劇活動の自主性、創造性をより一層高める。 ・優れた創作脚本を研究することにより、大阪府の高校演劇活動における新たな文化活動の 主体性を築くことを目指す。 2 概要 ・大阪府高等学校演劇連盟常任委員など、創作脚本の経験者による連続講座を開催する。 ・年間を通じて1〜2本の戯曲を書き上げる。 ・講座では、脚本創作の経験、現代戯曲の特徴、生徒創作脚本の実例分析などを行い、 講座ごとに創作実習を行う。 ・創作実習に対しては、講師が助言を行う。 ・講座受講生の優秀創作脚本は、その年間の生徒創作脚本コンクールに推薦される。 ・その他、創作脚本に関する必要な情報提供や、交流を積極的に行う。 3 期間 ・5月  受付 ・6月27日(土) 第1回 「創作脚本の作り方講座」(開講)  ・8月1日(土)  第2回 「創作脚本の楽しみ方講座」 ・10月3日(土) 第3回 「創作脚本の苦しみ方講座」 ・12月19日(土) 第4回 「創作脚本の味わい方講座」 ・1月16日(土) 第5回 「創作脚本の鍛え方講座」(閉講) 以上いずれも、土曜日の午後を予定。 4 場所 1月を除いて、原則として、追手門学院大手前高等学校を会場とする。 5 講師 吉田美彦(常任委員、枚方高校) その他、大阪府高等学校演劇連盟常任委員、他府県創作脚本経験教員(近畿劇作連絡会幹事)、 関西の劇作家など趣旨に賛同をいただいた方を講師に招請することもある。 6 受講者 ・大阪府の高等学校に在籍する高校生で、戯曲創作を志している生徒。 ・原則として5回の講座のすべてに出席できる生徒。 ・受講受付方法 5月末日までに以下に、所定の申込用紙を記入して郵送で申し込む。 〒573−0027 枚方市大垣内町3−16−1 大阪府立枚方高等学校  吉田美彦    電話 0720−43−3081 FAX 0720−41−8333 ・定員  約20名(原則として先着順) ・受講通知は、本人宛に連絡する。 7 その他 ・受講料  実費  年間1000円(第1回目の講座において納入する) ・問い合わせ先 上記申込先に同じ 高校生のための創作脚本講座受講申込用紙   上記講座を受講料を添えて申し込みます。 学校名                         高等学校 学年    年 氏名                       自宅住所 〒                           自宅電話番号                           創作経験   有  無 有の場合、その経験について以下の質問に答えてください │ 執筆時期│上演の有無│ 上演した場所│ 上演所要時間 │登場人物の人数│ │ │ │ │ │ │ │ │ │ │ │ │ │ │ │ │ │ │ │ │ │ │ │ │ これまでに見たり、読んだりした戯曲の中で、印象に残ったものが有れば書いてください。また、 その作品のどのようなところが印象に残ったかも簡単に書いてください。 │ │ │ │ │ │ │ │ │ │ │ │ │ │
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