題 その風鈴はボクの思い出だった

  梅花高校2年 仙田 幸さん

風鈴の音があたりに響く。床にすわる太一とその祖母

ふと太一が、風鈴が吊られている辺りを見た。

 

太一  なあ、おばあ

祖母  なんだい

太一  あの風鈴、毎年でとるが、いつから吊るしとったけ?

祖母  いつからって、お前が産まれた時からだよ。

太一  ボクが?

祖母  そや。お前が産まれた日に何を思うたんか知らんけど、

    じいさんが買うて来よったんや。

太一  あの頑固者がか?

祖母  あの頑固者がや。

太一  へぇて。・・・せやったらアレは

  と、太一が再び風鈴を見る。

太一  ボクと同い年、言うことか

祖母  そやさかい、あんたにとっても、おばあらにとっても、

    大事なもの言うこっちゃ

太一  ・・・・

  チリンチリンという音。FOで暗転。と同時にSEもFO。

太一  (声)おーい!いくでー!

  ライトCIで明転。SE→風鈴

  ボールであそぶ太一。相手は架空。

太一  ちゃんととめろよ!

  太一、ボ−ルをける。

太一  うわ!やばい!

  SEでガチャーという何かの割れる音。

  消える風鈴の音。

太一  あ・・・。

  静まり返る。しばらくの間。

太一  ボクは・・・。わるないって、ちょっとまて!

    お前、かえんなや!・・・逃げ足の速い奴やでほんま。

  そっと風鈴の落ちたあたりに足を進める。

太一  ・・・割れてもーたなー。お前のほうが、ボクより寿命短かった

    ちゅう・・・こっちゃ・・・あれ?おかしいな。何か泣けてきた

  目頭をおさえる太一、祖母の声がする。

祖母(声)太一?さっきの音何や?

太一  やべっ

  急いで涙をふき、風鈴をかたづける。

太一  おばあに見つからんように、どっか隠しとこかな。

  太一、あわてて去る。すれちがいに祖母、登場。

祖母  太一?あれ?おらへん・・。さっきまでここで声聞こえて

    たのに。・・・ん?

  祖母、かがんで何かをひろう。

祖母  ・・・ガラスの破片、何でこんなとこに・・・

    そういえば、風鈴があれへん・・。さっきの音といい

    このガラスといい、もしかして・・・

太一がボールをもって登場。  

祖母  太一・・・。

太一  おばあ・・・。

  少し間があって、たえられなくなったのか、

太一がかけだす。

太一  遊びにいってくる!

  太一、去る。祖母、しばらく太一の去ったほうをみつめる。

祖母  ・・・ほんま、アホな子やで。

  ライトFO。ライトCIで、ボ−ルの上に座る太一。

太一  どないしよ・・。ってか、何であんなとこでボ−ル遊びなんか

    してたんや、ボク!・・・隠さんかったらよかった。おばあは

    きっとおこらへん・・・。そやのに、ほんまアホやで、ボク。

  悩む太一、次第に日がくれていく。

  少し、照明が暗くなる。

太一  ・・・もう夜や。

  はあーとためいきをつく太一。そしてふと

太一  ボク、今いくつやったっけ・・・13か。

    そか・・・。13年も、あの家で鳴ってたんやな、

    あの風鈴・・・ぐすっ

  すすりなく太一。

太一  ぐすっ・・・ごめん。ごめんなぁ。おばあ・・・

    おじい・・・おかん・・おとん。ほんまごめん。

  ぐすぐすっと泣く太一。しばらく泣いていると、

  祖母が現れる。

祖母  太一・・・。

 

コメント

とてもよい情景が目に浮かんできます。少しシナリオとして整理してみますと、

せりふで気持ち、心の中を「説明」しないほうがよいこともあるのです。

下線部分をカットして、役者の演技や「間」で表現したほうが、舞台の

見せ場になります。ボク、今いくつやったっけ? 

もなくしたほうがよいのではないでしょうか。というわけで、まずは展開や

筋立てが決まれば、せりふの整理(必要のない説明は削る)も必要ですね。